それぞれの秋

 秋である。実りの秋、スポーツの秋、芸術の秋、読書の秋、食欲の秋、と様々に称されるだけあり、今まさに、スポーツ大会、イベント、文化的行事等、各地は色々な催し物で賑わっている事でしょう。
 我が家でも、小6の息子はマラソン大会、娘の通う中学校は学校祭とそれぞれに開催されたのはつい先日のこと。
 共稼ぎの私たち夫婦、子供達の晴れ舞台には、何とか貴重な時間をひねり出す事に決めている。
 息子にとっては最後のマラソン大会。低学年の頃は、スタートダッシュだけが得意だった。ペース配分なんてお構いなし、とにかくトップで勇ましく飛び出していき、ゴールは、決まってバテバテだったっけ。
 今年は一味違う、控えめなスタートで始まり、結果は自己最高の2位。往復6キロの自転車通学、新発売のファミコンカセット、5年間勝てなかったライバルM君?彼にエネルギーを与えた物はいったい何?、でも今は、やんちゃ坊主の成長と活躍に素直に拍手を送ろう。
 翌日、娘の中学校の学校祭。珍しく展示作品に選ばれた静物画を見る事を目標に、何とか、午前中の仕事をやっつける。あわただしく着替え、車で5分。放課後遅くまで残って 皆で頑張った学級展示は、段ボール製のオブジェや、ぬいぐるみの天使の羽根、クラス全員で完成させた、ペガサスのタペストリー、想像力に表現力が残念ながらおよばずとも力をあわせて頑張った充実感あふれる力作。娘の作品も何とか見届け仕事へ戻る。
 彼等の健やかさが、ちょぴりバテぎみの私たちの明日へのエネルギーになってくれると信じつつ。


苫小牧民報 1995年(平成7年)10月7日(土曜日)掲載


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