何年か前のある秋の日のことだった。にこにこ顔で小さな包を差し出す主人。私へのプレゼントらしい。誕生日は春に終わっているし、結婚記念日にはまだ少し早い。
「いやだ、パパ。記念日はあさってよ、…」と言いかけた私をさえぎるように、「いいじゃないか、だって今日は特別な日なんだから。はい、いい夫婦になれますように。」と主人。
その日は、11月22日、知る人ぞ知る「いい夫婦の日」なのでありました。
この記念日は今でこそ、結構ポピュラーになった、感もあるごろ合わせの記念日ですが、まだ知らなかった私は、喜ぶよりも先に、へー、そーなんだぁー、なるほどねぇーと、感心してしまった覚えがあります。
最近の、マルチメディアブーム、情報氾濫の御時勢。会社ピーアールの電話番号や、勝手な記念日など、なるほどねーと感心させられるものから、ちょっと、苦しそうな物、センスのいい奴、下品な物など、ごろ合わせの数字がやたらと目に付くように感じませんか?
つい先日も、ラジオから流れてきた、今日は「良い夫婦の日」4月22日なんですねー、と言うアナウンサーの声も、何となく11月22日の2番煎じっぽくて、ピンと来ないものの一つ。案外、一緒に聞いていた主人も、結構なかなかのこだわりマンであったりする。
私達が結婚した昭和55年、どうせだからと、届け出を5月5日にしようと言い張ったのも主人だった。私達の、アルバムの1ページ目には、今はなき愛国駅発行の5が4つ並んだ切符が張ってある。行き先はもちろん「幸福」駅。