研修旅行

 「一緒に札幌の街を散歩して見ませんか?」の見出し文句を一目見て、友人にも、「行こうよ!」と気軽に声をかけ、心は久しぶりの札幌に飛んで行く。
 見たい、知りたいの好奇心だけは自信のある私。 さて、「何を着て行こうか?うーん…、Tシャツにジーンズ?待てよ、美術館にも寄るからもう少しエレガントに…。」「誰も、あんたの服装なんか…」という主人とのお決まりの会話。お出かけ用の洋服も決まり、いざ出発、「お父さん仕事頑張ってね!」
 バスは、緑の牧場を抜け千歳インターから高速へ。私にとって久しぶりのお出かけを祝福してくれるような、絶好のお天気。参加者全員がうきうきしているように見え会話もはずみがち。
 最初の、目的地は、チョコレートファクトリー。赤レンガのお城を思わせる建物に目を奪われるのも束の間、チョコレートの甘い香りに包まれた私の手には、出来たてのクッキーとチョコレートの山。娘のお土産はこれで良し。
 次は、道立近代美術館。ここでは、7月14日〜8月20日の期間、「モネ」の特別展が開かれている。フランス印象派を代表する一人の作品を見るのは、もちろん初めて。でも、ほとんどの作品が晩年の作、「睡蓮」シリーズ、有名な「印象−日の出」はやっぱり「ルーブル」なのかな?とため息。とはいえ、世界の名画とちょっぴり触れ合い、確かな手応えを胸に、お土産の絵葉書と便箋を買う。
 最後は、サッポロファクトリーで昼食とショッピング。気が付けば品物と値札を次から次へと見比べている、いつもの私。こうして、親睦と、見聞を深めるための1日研修旅行は、あっという間に終わり、たまにだから楽しめる都会を後にバスは田園目指して動き出した。


苫小牧民報 1995年(平成7年)7月29日(土曜日)掲載


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