私の国際交流

 南アフリカ共和国の写真家ヴィクター・マトムさんの講演会は、感動的で多くの人の胸に訴える内容だったと聞き、行けなかった私は残念でなりません。その頃我が家はちょうど米の採り入れでてんてこ舞い。主人は田んぼで稲刈り、私はハウスで花の採り入れ。 そんなある日、仕事を終えた彼は「今日、マンデラさんの国のカメラマンが田んぼに来て写真撮ってったよ。日本の農村風景を撮りたいって言ってね…。」マトムさんが講演の翌日にたまたま通りかかった農村風景が我が家の田んぼで、そこで稲刈りをしていたのが主人だったのですが、世の中狭いですね。
 早来町は空港に近いとは言っても、外国の方とふれあう機会は決して多くはありませんが、我が家には、オランダ人のSさんが年に2、3度やってきます。Sさんとは5年ほど前からのお付き合いで,チューリップ栽培が縁で毎年顔を合わせるようになりました。
 フラワービジネスで日本とオランダを行き来する彼は、日本語を含め、4か国語を話し、ブロンドでスリムな長身。要するに知的でハンサム(ここが肝心!)
 そんな彼が日本語を話してくれるお陰で、英会話の心配をすることもなく異国の暮らし振りや、物に対する考え方など外国の文化に触れることが出来る私はとてもラッキー。会う度に関心する事は、物を大切にし、粗末にしないという事。彼の服装やいつも肌身離さず持ってくる鞄にしても決して新品ではないけれども清潔で、手入れが行き届いている。駐車中のエンジンのかけっぱなしは、「ガソリンがもったいないよ。」としかられたのは、私の主人。はらはらしながら、出した私の手料理を残らずたいらげ「おいしいね!」と笑ってくれた彼は、もうすぐチューリップの球根がオランダから届く頃、いつものように赤い鞄を持ってやって来る事でしょう。


苫小牧民報 1995年(平成7年)11月4日(土曜日)掲載


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