12月

 今朝までに降り積もった雪が、一夜にして秋の名残を消し去った。居間からの眺めは、一面の銀世界。 外は、全ての生命を拒むかのような、厳しい冬。それとは対照的に、暖房が入っている居間は、快適な温度に保たれ、子供達を送出した私は、主人お気に入りの豆でコーヒーをいれた。
 壁にかかったカレンダーも、とうとう最後の1枚となり、今年もまた「1年が過ぎるよ。」と呼びかけてくる。
 待ち遠しかった春が過ぎ、雨が多かった夏もつい昨日の事のように思える。忙しかった毎日もいつの間にか夢のように通り過ぎ、改めて、1年って本当に早いなぁと思う。私は今、あわただしい世間には申し訳無いが、ゆったりとした気分で、のんびりと過ごせる季節を迎えようとしている。
 今年もまたリースを作る。材料はほとんどが自前、例えば、ベースは、野ばらのつる(とげの無いもの)松傘は雪が降る前に拾っておいたもの。きれいなグリーンのリングに野ばらの赤い実をちりばめて、気分はもうクリスマス。
 それに手紙もたくさん書こう。普段、読めずに飾ってあった本もこのさい、いっぱい読むぞ。欲張りな私は、結局忙しくなりそうだ。
   仕事あり、子育てあり、家事も(かなりの手抜きだが)ありの私だから、束の間のゆとりある時間を大切にしよう。そして1年間健康で過ごせた事への感謝を忘れずに、新たな夢や期待をゆっくりとふくらませておこうと思う。今のうちに…。


苫小牧民報 1995年(平成7年)12月16日(土曜日)掲載


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